FukiIkeda

ソフィーの選択のFukiIkedaのレビュー・感想・評価

ソフィーの選択(1982年製作の映画)
4.3
ソフィーの選択、英語でも「究極の選択」の比喩として使われるほどの…アウシュヴィッツもの、ホロコースト題材の中でも、直接的な捉え方ではないけれども、名作ですね…。美しくも切なく儚いストーリー。

若きピーター・マクニコル演じる22歳のスティンゴは作家を夢見てブルックリンに田舎からやってきて、メリル・ストリープ演じるポーランド育ちの32歳の片言の英語を話す美しいソフィーと、そのパートナーで気分にムラのある生物学者のネイサンが暮らすアパートにやってきて、彼らの奇妙な三角関係が始まるのです。
男2人と女1人の愛と友情の物語のようで、徐々に物語が進むにつれ、ソフィーはアウシュヴィッツに収容されていた経験があること、ネイサンもまた問題を抱えていたりと、物語はドラマティックに、そして悲惨さを更に浮き彫りにするように、本来の核心に迫っていくんですよね…。
美しい年上のソフィーに憧れを抱くスティンゴですが、ソフィーはひどい目に合いながらもネイサンから離れられないでいるわけです。どうして幸せになれない方向ばかり選んでしまうのか、どうして破滅的なものに惹かれてしまうのか…惹かれ合う理由を知った時にはもう救いはないわけで…。
戦争はとんでもない選択を人に与えてきたわけで、ユダヤ人でなくとも、支配される側であった場合には否応にしてその選択に迫られる事はあって、現実世界では数え切れないほど理不尽な選択を迫られた人達が沢山いる。
だからこそ、自分たちも一般人としてその選択を迫られる可能性だって大いにあるはずで…。
淡い恋の泡の底に沈む朽ち果てた大きな鉛の塊…決して溶ける事のない塊をずっと沈めておかなくてはいけない人生はどういうものなのだろうか…。

とにかくメリル・ストリープの演技も凄いだよ…
FukiIkeda

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