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ソフィーの選択のRのレビュー・感想・評価

ソフィーの選択(1982年製作の映画)
4.5
ぐおおおお。重い。重すぎる。重い重いと聞いてはいたがここまで重いとは…。終盤に近づくまでは、確かにひどい話だが他のユダヤ人強制収容所関連の作品と大差ないのでは、と思いながら呑気に見てた。けど、最後はぐおおおお。ストーリーは1947年、南部出身の作家志望の青年スティンゴがニューヨークのアパートに住み始めることから始まります。同じアパートの上階に住んでるカップルが、ソフィーとネイサン。それぞれメリルストリープとケヴィンクラインが演じてる。ソフィーはアウシュヴィッツを生き延びた非ユダヤ系ポーランド人、ネイサンはユダヤ人の生物学者。ネイサンは時おりすさまじい癇癪を爆発させ、ソフィーに酷いことを言いまくったりするのだが、普段はハッピーでハイ。ギャップがすごい。ソフィーはそんなネイサンを心の底からとても深く愛してる様子。スティンゴはふたりととても強い友情で結ばれ親友になるんやけど、透き通るようなはかない美に柔らかく包まれたソフィーを心の中では愛している。ひそやかな三角関係の話を軸に、ソフィーとネイサンの出会い、更にはそれ以前のソフィーのアウシュヴィッツでの体験が追想される。そして、過去を振り返るなかで、ソフィーとネイサンがなぜそんなに強く結ばれているか、その哀しく恐ろしい理由が次第に明かされていく。ホント最初は、ふーん、よくある話だね。映像の美しさと演技の素晴らしさで長い年月を生き延びてきた映画なのかな? くらいで見てました。特に、メリルストリープはやっぱスゴくて、クセが強い顔ではあるものの白く発光してるかのような美しさ。そして、こんな若い時分から演技の深みがヤバい。ひとつひとつの微細な表情や動きにわざとらしさが一切なくすべてソフィーの心の動きにリンクしてるし、ポーランド訛りの英語とポーランド語とドイツ語を使いこなし、それぞれの時代の体重や顔の変化が別人レベル。こんな演技できる人おらんわ。そりゃアカデミー賞あげる! 文句ナシ! ケビンクラインも頭のおかしな男の役が巧い! カメレオン男優すぎて本人の印象がほとんど残らないけど。その二人の間で、常にソワソワしてるウブな童貞スティンゴを演じるのはピーターマクニコル。この人は全く存ぜぬが二人の巨人の間であたふた好演。さて、本作の圧巻は何と言っても終盤のソフィーの超ヘビー級の告白。それまで呑気に構えてたボクの全身の血が一気に凍りついた! え! えええええ!!! えええええええええ!!! 酷すぎる。という言葉では軽い。この衝撃は言葉では到底表せない。何ということ。今まで見てきた戦争映画に描かれてなかったのか、描かれてたのに見えていなかったのか。戦争の知らなかった真実の一面に、そのあまりにも残酷な一面に、震えました。ソフィーの顔が脳裏に焼きついて離れません。だから頭のおかしいネイサンから離れられないんだね!けどさ、その話のその後で、ええええ!!!それすんの?!ってことをしますところも、個人的は面白かった。さすがアメリカ人。ホントに戦争は悲劇しか生まない。死んでも悲劇、生きても悲劇。ソフィーの選択を迫られたら、あなたならどうしますか。ボクならどうしますか。そしてソフィーの選択の意味とは……そんなことを悶々と考えながら、眠れぬ夜となることでしょう。