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飛べ!フェニックスのundoのレビュー・感想・評価

飛べ!フェニックス(1965年製作の映画)
3.8
熱砂という灰の中で。

ロバート・アルドリッチ監督作品。
絶望的な状況の中で、人間の強さと弱さを描いた娯楽作。

サハラ砂漠上空を飛行中に砂嵐に見舞われ、不時着してしまった民間貨物機。
水も食料もわずかで、落下地点が悪いため、早期の救助も期待できない。
熱砂の中に取り残された乗員と乗客(全員男で15人くらい)。絶望的な状況の中で彼らがとった行動とは…。

この監督の作品を観るのは3作目だけど、ジャンルを問わずにセンスあふれる娯楽作を作る印象。
本作も、ストーリーはシンプルながら、たっぷり時間をかけてクライマックスへ積み上げていくスタイルの良作。

この時57歳のジェームズ・スチュアートが主役のベテラン機長を演じる。彼は困難に立ち向かう姿がよく似合う。
他にも個性的な乗員乗客たち。世代も人種も職業もバラバラな彼らが困難な状況の中で織りなす人間ドラマも作品に厚みをもたせる。

こういうシチュエーションの作品を観るたびに思うのは、自分がこのような場面に遭遇した時に、何か貢献できることはあるだろうか、ということ。本作のように、医者はどんな場面でも重宝されるし、鍛えられた軍人も頼りになる。私もこういう時のためにサバイバル術でも学んでおこうか(笑)

有能な人間が事態を打開するために積極的に行動した結果や、指示に従っているだけの人間が最終的にどうなったか、など、社会の縮図を見ているようで考えさせられる部分も。
優秀なのに根本的にズレている描き方をしていたのはドイツ人に対する何かの皮肉だろうか。

丹念に絶望を描きながら、やがて訪れるクライマックス。
人間の強さと弱さを乗せて、砂という灰の中で希望を取り戻すことができるだろうか。



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