イチロヲ

地下幻燈劇画 少女椿のイチロヲのレビュー・感想・評価

地下幻燈劇画 少女椿(1992年製作の映画)
4.5
見世物小屋の一員になった孤児の少女が、無知蒙昧なフリークたちに弄ばれながら、苦難を乗り越えていく。丸尾末広によるアングラ漫画を映像化している、自主製作アニメーション。かつて見世物小屋の一環として、上映イベントが開催されていた。

現在、販売されている原作コミックは改訂版だが、このアニメは改定される以前のオリジナル版に準拠している。そのため、現行のコミックでは修正されているシーンを、本作では見ることができる。

陰々滅々とした退廃的な物語なのだけど、レトロティック、イリーガル、アナーキー、エログロな世界観に強く惹きつけられる。一座のフリークたちもインパクト満点であり、一見では少女にしか見えない"ふたなり"役の芸人が、ひときわ異彩を放っている。

自主製作のためアニメーション自体は荒削りだが、高畠華宵の影響を受けているハイカラな作画が忠実に再現されており、なおかつJ.A.シーザーが音楽を手掛けているため、唯一無二ともいえる、ドラッギーな映像世界が構築されている。
イチロヲ

イチロヲ