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地下幻燈劇画 少女椿のべのレビュー・感想・評価

地下幻燈劇画 少女椿(1992年製作の映画)
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エロ・グロ・ナンセンスとしか言いようのない変態映画。
見世物小屋を中心に展開されていく物語なだけあって、やはり見る・見られるという関係性を重要視するべきだろう。
男尊女卑的な思想が根付いていた近代西洋において“見る”という行為主体は男性的なものであり、“見られる”のは女性的なものとされていた。
つまり、“見られる”ことは被差別的だった訳であり、身体的な欠陥を持つ人々によって構成されている見世物小屋という存在と繋がっているのは明白だろう。更に、その被差別的な身分である見世物小屋内においても見る・見られるの関係が成り立っており、主人公のみどりは所謂“見られる”(以上に酷い扱いを受けている訳だが)側なのである。
覆し得ぬヒエラルキーが大きく存在しており、下克上や因果応報譚に昇華する事は決してない。あまりにも非情な作品だが、その鬱蒼とした物語こそが丸尾末広ワールドの醍醐味なのである。
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