幕のリア

シベリア超特急の幕のリアのレビュー・感想・評価

シベリア超特急(1996年製作の映画)
2.8
敢えて進んで観る事も無かろうと無視してきた本作。
先日「スノーピアサー」を観たからか、急に気温が下がったからか、先週の中国出張で特急電車移動したからか、ふと目にしたら迷う事なくピックしてしまった。

素晴らしいプロット。
ポール・ヴァーホーヴェン大先生の傑作「ブラックブック」になり得た原石。

水野晴郎の映画愛が随所に感じられ、真っ向から馬鹿にするのは憚られる。

素人が映画を撮って作品にまで仕上げていく苦労と楽しさ。
今作には、市井の映画ファンから観た映画の素晴らしさが純粋に稚拙に表現されている。
「ここ見せ場ですよ」と。
楽譜通りにコピっても絶対に出せないノリやタメやグルーブ。
名作はおろか世に溢れる 数多の凡庸な作品までも称賛に値すると思わせる。
その一点において素晴らしい。

100円でレンタルした物にあれこれと難癖をつけるより、僅かながらでも良かった点を愛でる前向きさを身に付けたいと反省。

本作は1996年公開。
21年前と言うと大昔のようだが、その年に公開された作品をwikiで調べてみると、本作の異常なまでの時代錯誤が更に際立つ。
輝かしかった筈の取り戻せない青春に純粋に目を細め恍惚感に満たされた水野晴郎の生暖かい鼻息と吐息が漂ってきそうだ。
幕のリア

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