本当に好きだとなにも言えなくなっちゃう。そんな映画です。
橋の上で出会った、崖っぷちの男女の旅。ナイフ投げの男は、娘に的になるように説得する…
モノクロの魔力でまず酔わされる。フランス、イタリアの街角、夜のサーカスの怪しさ、カジノの絢爛さ。
パトリス・ルコントでなければ成し得ない独特の官能表現にはため息が漏れる…そこらのベッドシーンでは真似できない境地では?キスすらしない二人なのに。 二人がお互いを確かめ合い、陶酔がぴったりと重なる瞬間には身震いしてしまうのです。
これは恋愛なのか?と言えばそれは違うように思うのですが、愛って定義するものではないし、その二人だけの愛の形がある。二人で居ることの素晴しさを知ってしまえば、離れて生きていくことは出来ない、二つにちぎれたお札の破片のようなもの。って価値観がすごくしっくりくるんです。
ダニエル・オートゥイユのくたびれた色気と、ヴァネッサ・パラディの危うげな美しさのバランスも絶妙。
鑑賞するもののラブロマンス比率が少ない私のイチオシです…