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灰色の男のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

灰色の男(1943年製作の映画)
3.0
No.170[ヴィクトリア時代のベタベタな四角関係] 60点

記念すべき200本目は敬愛するメイソンのキャリア初期の作品。ただ、タイトルロールの"灰色の男"を演じているはずが、全然出てこない。キレそう。でも、ビデオ題の"変質侯爵物語"はウケる。

イギリスの寄宿女学校にて裕福で美人で性格のいい生徒クラリッサは新しくやってきた貧しく野心むき出しなヘスターと出会い、親しくなる。やがてヘスターは軍人と駆け落ちし、クラリッサは卒業後に灰色の男と蔑まれるローハン家の当主と結婚する。やがて旅芸人として生活するヘスターに再会したクラリッサは、彼女を親友として屋敷に招き、ヘスターはそのまま屋敷で暮らすことになる。そこにヘスターと組んで芝居をしていたロクビーという男が加わり、関係がややこしくなる。

冒頭の現代パートで小道具を提示することで、その伏線を回収するという小ネタを挟んでいて中々興味深かった。私はこの手の伏線回収は嫌いじゃない。そして、クラリッサとログビーの末裔を同じ俳優女優が演じることで系譜を重ね、悲劇に終わった旧時代の恋愛を現代で成就させる粋さも理解出来る。

ただ、物語はクラリッサ(女・善)、ヘスター(女・悪)、ローハン(男・悪)、ロクビー(男・善)という四人の男女がベタベタな四角関係を繰り広げるだけ。しかも、他の三人に対してローハンつまりメイソンの嫌われる背景がほとんど描かれておらず、メイソン本人の存在感に依拠してしまっている気がする。やっぱりメイソンを見るなら、彼の暫定キャリアベストの「ロリータ」なんだろう。

でも、恥ずかしながら、昔ベタベタな四角関係の小説をアホみたいな人数絡ませながら書いたことがあるから、謎の親近感はあったよね。という訳で、思い出補正の10点も加算しとく。

追記
マーガレット・ロックウッドって角度によってジェニファー・ジェイソン・リーに似てるよね。
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