このレビューはネタバレを含みます
No.3351
『死後の"引き寄せ"に賭けた涼子』
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博史(浅野忠信)の正面ショットや、不気味なほどの無表情さに、一瞬ストーリーを忘れそうになってしまいますがw、
涼子(柄本奈美)が献体を申し出たのは、「死してなお、恋人・博史と少しでも長くいたい、焼かれる前に、1分1秒でも博史に触れてほしい」
という願いのあまり、一種本能的というか、スピリチュアルというか、
消えゆく命が彼女に与えた最後の「ひらめき」だったのかもしれません。
そして結果的に、彼女の願い通り、二人は「引き寄せられ」、理屈は通っていますけど現実的にはなかなか理解しがたいような「再会」を果たします。
なんだか切ないですなぁ。
「人間には、"肉体的な死"と、"人から忘れ去られる"死の2つの死がある」
という言葉を思い出します。
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なお、本作の照明担当に『ヒメアノ~ル』『空白』の𠮷田恵輔監督の名前があります。
𠮷田さんは、塚本組出身で、塚本監督に師事されています。
最も影響を受けている監督も塚本さんであると、インタビューで答えられています。