アンタレス

孤島の王のアンタレスのレビュー・感想・評価

孤島の王(2010年製作の映画)
4.2
銛を3本打っても 死なない鯨がいた
丸一日生き延びた
その鯨は衰弱していた
体は 過去の戦いの傷で覆われていた
下船間近の甲板員がいた
彼は6年間 真面目に働き
ついに陸に上がる


脚本は事実を元に、丹念に作り込まれている。
少年の矯正施設、という肩書きではあるが、少年達は実際には非人道的な扱いを受けている。
閉塞された環境は少年達だけではなく、大人をも狂わせるのか、度を過ぎた暴力や暴言には怒りを覚える。
そして、少年達の蜂起を鎮圧するのに実に150人の兵士が投入されたらしい。
盛り上がりや見せ場があるわけではなく、淡々と進む物語。しんみりとさせる音楽も相まって視線を外せない2時間。
しかし、観賞後は観て良かったと、感じるに違いない。それほどまでに、少年達の目には力が込められていた。
どこか『ショーシャンクの空に』を彷彿とさせる話でありながら、結末はまったくの別物。しかし、まったくショーシャンクに引けを取らない、隠れた名作であると断言できる珠玉の作品だった。
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