BOB

預言者のBOBのレビュー・感想・評価

預言者(2009年製作の映画)
3.8
カンヌグランプリ、セザール賞を獲得したフレンチ・クライム・ドラマ。

19歳のアルジェリア人青年が、懲役6年の刑でフランスの刑務所に送られる。

🪒

見応えのある作品だった。刑務所サバイバル劇から始まるマフィア成り上がりもの。フランス刑務所映画の名作『穴』や『抵抗』のように、リアルを徹底した作風で、友情と裏切りのシビアな人間ドラマがメイン。アメリカのギャング・マフィア映画好きな自分としては、もう少し盛り上げて欲しかった気がしなくもなかったが、これこそフランス映画らしさだよなとも思った。

マリクの裏世界成長ドラマであると同時に、民族や宗教によって仲間を形成していく刑務所の中で、民族的マイノリティの立場にあるマリクが自分のアイデンティティを確立していく話でもあった。コルシカマフィアのボス・セザールとの立場逆転を象徴する終盤のシーンが印象深い。盛者必衰、父親殺し。

マリクが初めて人を殺めるシーンが生生しく重い。口の中に剃刀の刃を忍ばせるとは、、、。考えただけで痛い。

主演は『ある過去の行方』に出演していたタハール・ラヒム。デビュー作から素晴らしい演技。車襲撃シーンの不敵な笑みと、幸せ家族&車ゾロゾロのラストに痺れた。

61
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