のび

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアののびのレビュー・感想・評価

4.0
映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』は、冒頭からラストの直前まで、とにかく「動」の映画だ。登場人物たちは絶え間なく動き回り、状況は刻一刻と変化していく。息つく暇もなく、ストーリーは目まぐるしく展開し、わたしたちをハラハラさせながら物語は進む。本作はラストシーンの直前まで一貫してテンポの良いコメディ調のロードムービーだ。だからこそ、ラストシーンの「静」の美しさが際立つ。

余命わずかと宣告されたふたりの男が病院で出会うところから物語ははじまる。こっそりと持ち込んだ酒を飲み、すっかり酔っ払ったふたりは、海を見たことがないので海を見に行こうと意気投合し、海へと走り出す。

主人公のふたりは警察とギャングに追われ、余命も迫っている。わたしたちは思わずマーティンとルディを応援してしまう。警察にもギャングにも捕まるな、一刻も早くいまだ見たことのない海を見せてあげたい、と。ふたりは何度もコメディ的なピンチに陥るが、そのたびにコメディ的な機転を利かせ、うまくその場を切り抜ける。そんなところが、本作のひとつの見ものだろう。

本作は、さまざまな疑問や思いをわたしたちの胸に中に思い浮かばせる。わたしたちにとって自分が死ぬ前にどうしても見たい風景とは何だろう。それを目にするために、わたしたちは何をしているのだろうか。わたしたちは最後に本当に見たいと願った風景をこの目にするため、今この瞬間を走り続けているだろうか。だからこそ、わたしたちはまっすぐに海を目指して走り続けるふたりを応援してしまうのだ。