とぽとぽ

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.0
言わずと知れた温かな力作ーーーーとーっても素敵な反骨心の塊。野郎が泣けるポスト・タランティーノ映画(ex.『ドーベルマン』『処刑人』本作がそういった中で頭ひとつ抜け出した存在であることは想像に難くない)。『レザボア~』や『パルプ~』を思い出す追っ手のスーツの着こなしや車のトランクを覗くときの構図(規模は国を跨いだりヘリが飛んだりでコッチのほうが大きいけど)。更に付け加えるなら同名のボブ・ディランの名曲を時にコミカルに時にアクション満載に解釈し直したドイツ発男の友情モノ犯罪映画、三つ巴銃祭り。海を見るーーーーその一点において本作は完璧なロードムービーである。死に際に一生の友達に出会って無茶苦茶するという夢を叶えてくれる、こんなの皆好きだろ!人生は喜劇だ、と言わんばかりに途中まで馬鹿ばっかりの間抜けなパーティーみたい。マーチン格好良すぎて、道中会うのは気の良さそうな奴と魅惑的な女性たちばっかり。そして待ちに待ったルトガー・ハウアー!!「そしたら急げ、間に合わんぞ。天国では皆が話す~」ここからの語りが良すぎる!他のキャラ全員小物に見えてくる。絶体絶命になってる好き勝手やって生きていきたい。死を意識して生を感じる諦めの悪い奴等の暴走珍道中!最後のカットは『大人は判ってくれない』と呼応しているように、無限の開放感を感じる。魂が解き放たれる、生憎の曇り空と荒れた海の狭間に。否定のしようのない、かけがえのない一本になる。人生を変える濃厚な90分。疲れたな、うんと心を満たされて。
「見かけより近くに」「何も怖くないさ」
勝手に関連作『真夜中のカーボーイ』『ミッドナイト・ラン』
AUDIENCE92%
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