焼きぷりん

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアの焼きぷりんのレビュー・感想・評価

5.0
知ってるか?天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ。

90分という短い尺に、笑いあり涙ありのドラマが詰まっている。これ以上に好きな作品は今のところない。

死の宣告から物語は動き出す。だが、この物語は終わりに向かって暗いトーンで進む訳ではない。

運命的に出会った二人が海を目指し、最後まで格好よく生き抜く様を描く。常に明るく、悔いを残さぬよう。ハチャメチャに振る舞い、生を謳歌する。

でもリミットはある。やっぱり最後の命の輝きなんだと直視させられるシーンが度々ある。本当に辛く心苦しい気持ちにさせられる。

道中いろいろあるけれども、最後は本願が叶う。海をこの目で見るという夢が。

そして、いよいよ旅立ちの時がくる。海の音を聴きながら、大切な友人の隣で。その場面が、これまた素晴らしい描かれ方をしている。

そのシーンが続いたままエンディングに突入する。ボブ・ディランの歌を聴きながら、劇中の色々なシーンが思い起こされつつ、涙。

儚くもある「死」をテーマにしているはずなのに、本当の最期の瞬間まで、この物語は「生」の物語である。

実際の人生も「死」を意識して、生きることに全力になれなくなってしまえば、それは「死」と変わらないのかもしれない。自分はそう受け取った。

この作品に魅了された自分も、最期はできるだけ悔いなく生きれるよう努力したいと思う。勿論、海を見に行くことも欠かせないだろう。