つるみん

カナリアのつるみんのレビュー・感想・評価

カナリア(2004年製作の映画)
3.5
塩田明彦による、オウム真理教をモチーフにしたフィクション。

内容、
主人公である光一は、母親が傾倒するカルト教団「ニルヴァーナ」の施設で妹とともに数年を過ごしたが、教団が崩壊後、関西の児童相談所に預けられた。そこへやってきた祖父は妹の朝子だけを引き取り、東京に戻ってしまった。
光一は妹を取り戻すため東京を目指す。その道中に出会った援交少女の由希と出会い2人のロードムービーが始まる。


劇中にある「子は親を選べない。親は子を選べるのか」という台詞が強烈的であった。子供は親を選べないし子供は養ってもらう以上、親に従うしかない。でも従い続けていたらこのまま自分が消えてしまいそうで。考えたくもないのに考えてしまう……。その繰り返し。

カルト宗教というフィルターを通して、さまざまな家族や人との関係性を描き出す演出は素晴らしく非常に挑戦的ではあったが主人公2人の心情変化が掴みづらい。それにより中々ストーリーに入り込めず、ラストの演出も説得力に欠ける。

子役の演技は素晴らしかった。
特に援交少女を演じた谷村美月。彼女が子役からとは知りませんでした。今、朝ドラでやってる『べっぴんさん』でご活躍されていますが、まさか中学生であんなレベルの高い演技をされていたとは恐れ入りました。
この作品、実際のところ谷村美月の演技を見るだけでも価値あると思いますよ。
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