夜光虫

黒いオルフェの夜光虫のレビュー・感想・評価

黒いオルフェ(1959年製作の映画)
3.7
ヴィニシウス・ヂ・モラエスが原作を書き、アントニオ・カルロス・ジョビンが作曲を担当したとなれば、ブラジル音楽ファンとしては失礼ながら映画はさて置いてでも注目必至の作品。ヴィニシウスは出来上がった映画のことをあまりお気に入りではなかったそうですが。
色彩と音楽と踊りの洪水。ただでさえ陽気なリオの街、カーニバル前ともなれば街も人も熱狂モード。銀幕の中の喧騒が圧となって観る者を圧倒する。ギリシャ神話のオルフェウスの物語がベースの物語、カーニバルの前日から当日へかけて、幸せと絶望が同時に訪れる。絶望にくれる登場人物の周りだけ音楽が消えるが、街へひとたび戻れば鳴り止まぬ音楽と雑踏の喧騒。劇よりも音楽の方が饒舌である。悲劇ではあるが悲壮感はなく、これがブラジル流なのだろうか。
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