紅孔雀

黒いオルフェの紅孔雀のレビュー・感想・評価

黒いオルフェ(1959年製作の映画)
4.6
リオのカーニバルを舞台に、ギリシャ神話の悲劇を現代に蘇らせた古典的名作。
主人公たちはもちろん、出てくる人は全員サンバのリズムで踊りまくります。これが、フランス人監督マルセル・カルネの見た喧騒のブラジルなんでしょうか(彼はカーニバルに感激し、短期間に4回もブラジルを訪れたとか)。西欧人の持つエキゾチシズムへの憧れが画面に色濃く現れています。
そして真昼の狂騒に忍び寄る黒い死の影。その強烈な明暗の対比が、本作を単純なカーニバル映画に終わらせません。“メメント・モリ(死を忘れるな)”なのであります。
名曲「黒いオルフェ(カーニバルの朝)」が流れる場面は、やはり感涙もの。単純なストーリー、素人っぽい演技(といっても全員オーディションで選ばれた素人なので当然なんですが)など細かい不満はあるものの、カルネ監督畢生の傑作であることは間違いありません。今、撮れと言っても絶対に無理な、ある意味奇跡の一作でした。
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