Kamiyo

黒いオルフェのKamiyoのレビュー・感想・評価

黒いオルフェ(1959年製作の映画)
3.0
昔の名作 見ていない映画を鑑賞しよう思って、フンランス人監督
1959年12回カンヌ映画祭パルムドール賞 ”黒いオルフェ” ギリシャ神話 ”オルフェとユーリディス”物語を リオのファヴェ-ラ(スラム街)のカーニバル舞台の背景に描いていた ポルトガル語にて見る

期待していたほどの作品ではない、公開当時、まだそれらはもの珍しく新鮮だったのだろう、しかし21世紀の私達にとってはそうではない
見る時期、60年前見れば違ったかもしれない。
 
映画は カーニバルの前夜ということで、町には始終音楽が鳴り響く。始終、歌って踊って大袈裟に動いて、大袈裟にセリフを言う。
カーニバルだから音楽と踊りはまだいいとして、どうもこの大袈裟なラテン気質の乗りにはついていけない。
だが騒がしい人々の中で物静かなユリディス役の女優(マルペッサ.ドーン)が初々しくて良かった。

元はギリシャ神話の有名な話から製作されたということだ。だがブラジルの現代劇にしているということもあってか、神話の内容から想像していたものとは趣も随分と異なる。愛する妻のためではなく、会ったばかりで一夜の相手のために死者を探し回るオルフェ。

”神話では黄泉の国に人が入るため、オルフェは渡し守カローンや番犬ケルベロスに哀しい音楽を聞かせて感動させた”。
映画ではその代わりに警官や医師が出てくるが、せがまれても特に彼らに音楽を聞かせることなく、それでもオルフェはあっさりと中に入れてしまう。
そして建物の中では、死んだユリディスの代わりに、彼女の精神が乗り移った霊能者が登場、振り返っては駄目、神話同様にそう言われても振り返ってしまうと、そこに美しいユリディスの代わりにいたのが、しわくちゃ顔のブラジル版、「いたこ」の婆さん。
そりゃオルフェじゃなくても逃げ出したくなるだろう。本当は深刻な場面なのだろうが、思わず笑いがこみ上げる。
物語は神話のありえない世界を、そんなかんじで強引に現代劇にしたことで無理がある。

ラストの日の出と共に子供達が歌い踊るシーンなど印象に残る

ボサノバの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビンがサントラを手がけている。賑やかなサンバの合間に流れる、静けさと哀愁を湛えた名曲「カーニバルの朝」がとても印象的。
名曲です。華やかなカーニバルの雰囲気と音楽を楽しむ映画だろうか。

マルセル・カミュ監督から、物語の背景に、リオのカーニバルがあるので、サンバのリズム独特の陽気さに騙されそうだが、60年以上前に製作された作品という事を差し引いても、正直、監督は、私たちに何を伝えたかったのか、判らないまま、鑑賞を終えた。
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