nana

転校生のnanaのネタバレレビュー・内容・結末

転校生(1982年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

公開当時のフィルムをそのまま使った上映でした。
初めて観るのに、どこか懐かしい気持ちになります。

とあるアクシデントからふたり、とりわけ男女の中身が入れ替わってしまう作品のことを最近はおそらく「君の名は。」で例えますが、元を辿るとやはり今作の原作小説「おれがあいつであいつがおれで」です。更なる元ネタもあると思いますが。

本当に入れ替わってしまったかのように見える小林聡美さんと尾美としのりさん。
2人の掛け合いが最高でした。
佐藤允さんと樹木希林さんの夫婦、なんか画が強くて笑えました。
ふんどしを付けることにならなくてよかったよ…

そういう時代だったのか、思春期の少年ならではの他者への性的な「いじり」、スカートめくりなど、今観ると結構居心地の悪くなる描写も多々あります。
男女が入れ替わるという物語を描く以上、性差について触れる訳にはいかないのですが、少なくともこの主人公2人は入れ替わったことにより互いの性差を理解し、尊重し、男女という性別の垣根を越えて人間として成長していく物語になっているので、救いがあります。

最後、「さよなら私」と手を振りながら走る一美と、「さよなら俺」とトラックの窓から8ミリを構える一夫。
彼が最後に撮ったのは、これ以上追えないところまできて立ち止まり、そして振り返り軽やかな足取りで反対方向へと歩きだす一美の姿。
若い彼等に、過去や感傷に浸っている暇などありません。
また新たな未来が、すぐそこに待っています。

今作は現在入手困難な状況なので、次にいつ観ることができるかは分かりませんが、きっとまたこのラストを観る度に泣いてしまうんだろうな。
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