B姐さん

愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像のB姐さんのレビュー・感想・評価

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フランシス・ベーコンの作品世界になぞるように、彼と彼の恋人(ダニエル・クレイグ)の内面世界が具象化され、それに合わせてベーコンのポエティックなモノローグ(たぶん「肉塊の孤独」からの抜粋)が綴られるのだが、これが悪魔的に退屈の極み。凡才が天才を描くのに一番やってはいけないことのオンパレード。鏡や窓をこんなにも凡庸に使う監督がいることに驚くし、心理描写で魚眼レンズを使う厚顔ぶりには恐れいった。アトリエの生々しさもコロニールームの猥雑さも全くない。自分の顔に絵の具を塗りたるシーンがあり、面白くなるのかと思ったら、また退屈な心理描写。1時間4分ぐらいにダニエル・クレイグのファンなら狂喜乱舞するような「ブツ」が見れるのだけど、私は特段ファンでもなかったので、あの「ブツ」のように「ぐったり」しながらボンヤリ観ていた。デレク・ジャーマンが師匠らしく、よく知らないけどPVも何本も監督してるとのこと。まあそんな感じ。
全く似てないデビット・ホックニーが出てきてベーコンが彼を「作品同様、退屈なやつだ」とコケにするシーンがあるが、ホックニーの作品は、この作品ほど退屈ではない。
ただ、冒頭のダニエル・グレイグが他人の家に泥棒に入る格好がどう見ても「ハードゲイ」だったことと、ベーコンの泊まってるホテルにあるテレビが「三面」なのは笑った(あんなテレビあったのな)。 あと坂本龍一のスコアは個人的にはあんま好きじゃない。
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