ちろる

ライフ・オブ・デビッド・ゲイルのちろるのレビュー・感想・評価

4.0
死刑廃止を訴え続けた大学教授の男(ケビン・スペイシー)が強姦殺人犯で死刑を言い渡される。
金曜日に死刑執行が迫るその前にインタビューを指名されたのは、1人の女性記者ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)

妻と息子を愛する良き父親である彼が、活動団体の同僚女性をレイプしたうえ殺害した。
罪について、何も疑問を持っていなかったビッツィーが、デイビッドの人生の軌跡を書き記す内に違和感を覚えていくわけですが、彼がなぜビッツィーを選んで手記を書かせたのか?
彼が人生をかけて何を訴えているのか?
何を守りたかったのか?
ラストのラストで全てが分かるとゾワーっと鳥肌が立ちますし、全てを抱えて静かに死を待つケビン・スペイシーのあの瞳にも惹きつけられます。

私は正直死刑制度について賛成か反対かなんてはっきりした意見がないわけで、ここに強い共感までには至らなかったわけですが、それでもここまで人生を賭けて行動するデビッドの生き様に圧倒される。

そしてこのデビッドのエネルギーに翻弄されながらも、いつしか包み込むような瞳でデビッドの人生を背負うビッツィーのまるで聖母のような存在感。
始まりと終わりで全く彼女が変わっていくのが分かるケイトの演技力にも脱帽しました。
なかなか物語の構成が複雑ではありますが、訴えかけるメッセージ以上にサスペンス映画として脚本の良さも光っている作品なので、ほんと見応えある本作。
色んな意味で苦しくなるけどたくさんの人に観てほしい作品です。
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