矢吹

書を捨てよ町へ出ようの矢吹のレビュー・感想・評価

書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)
4.4
街は開かれた書物である、余白は無限にある。
さよなら映画。
暗闇のなかでしか存在できない光。
光の中で映画は見れない。
そこにこそ、意味があるんじゃないの。
しかし、現実は非情だと。
隣の人の膝でもさすってみなよ。
ならお前はなにをしたって言うんだ。
ならこれはなんなんだって言うんだ。
現実のためにあるんだから、
映画でも、見に行こうじゃないの。

人力飛行機の夢を見た青年。
色が変わるスクリーン。
徹底的に非現実として、現実を映す。
町と環境と家族と成長の話。

時代を映した、映画なのよ。
敗戦国のラプソディ。
サンドバッグ、大麻、マルクス、聖書、
移動式屋台、養老院、どもり、
グリコは一粒300m。
コカコーラの瓶の中のトカゲ。

開かなかった扉、妹。ウサギゴロシ。
嘘ババア。無職父。

音楽とカットとセリフと落書きの雑多な様を、
楽しみながら、これが日本の歴史だと思う。
日本の文化で映画だと思う。
カッコ悪いですよね。
完全にエッセイ集です。原作のエッセイ集をストーリーとして一応作った感じ。脱線は多い。
キーワードを拾い集めていく。連想ゲーム。

どもりも思想だ、朝鮮帰りだ。
本理想だ。実存的だ。クイズだ。ハワイだ。
アメリカでも行こうかな。
こんな生活もう嫌だ。
嫉妬が一番の問題だ。
嫉妬することはないんですか?すごい人だ。
幸福を比べてしまう。
だから、誰とでも寝ることをしないのは、嫉妬が恐ろしいからだ。という理論は今回は少しずれる気がする。
嫉妬さえなければ、性に関する様々なタブーは瓦解する。(原作)

エンドロールはこいつが史上一番かっこいいです。
これだけは、間違いなく。

ミュージカルか?アングラ演劇だ。か?

映画ほど残酷なものはない。
それも知ってるけど、それでも。それでも。
映画、でも、見に行こうじゃないの。
矢吹

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