Qちゃん

書を捨てよ町へ出ようのQちゃんのレビュー・感想・評価

書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)
3.4
初っ端からディスられた!笑
あ、このっ、痴漢教唆しやがった!

サヨナラ映画。
書を捨てよというか、映画を捨てよ?

メタだなー。メタメタだなー。笑
面白いわー寺山修司。

寺山本人を表したような主人公。
つまんなくしょぼく停滞した自身を取り巻く現実や自身の殻の打破を試みて、必死にみっともなく足掻きまくる。全力を込めて魂の叫びをあげる。

そして、急速な経済成長と欧米化と共に、世間的には敗戦の絶望感や赤貧の生活といった負の戦後の気配が抜けて、何事もなかったかのように日本の世の中がどんどん変わっていく中で、やり場のない苛立ちと怒りを抱えていろんなことに発散を求める迷える若者たち。

スポーツ、セックス、ドラッグ、暴力、街頭での青少年の主張にライブパフォーマンス。。これ、街頭ゲリラ撮影!?個人的には許容できる範囲のやりやがった感。

これぞほんとのパンク。ロックの精神。
そんでやっぱ迷走。反アメリカを気取って、結局アメリカのカウンターカルチャーにどっぷり。

あと「田園に死す」にもガンガン出てたけど、やっぱこの人の女性へのコンプレックス大きいな。母親への依存と精神的支配から抜け出せていないことに発する、女性に対して、性的には興味関心はあるのに、対等な異性として対峙するというよりも、常に自分より上位で、自分を子供のように世話して可愛がってくれる人、かつ、得体の知れない脅威として深く複雑な愛憎を抱いている。

正直、同じく息子の母親という立場から、寺山修司のお母さんのハツさん、戦後に女手ひとつで極貧生活の中頑張って大学まで行かせて育て上げた実の息子に、こんだけ好き放題言いたい放題有る事無い事言われて、死ぬほど辛い思いしたんじゃないか。それだけが実は結構気がかり。

作品としては「田園に死す」の方が面白かったし好きだったけど、寺山修司の隠さない、泥臭くおどろおどろしい夢幻の万華鏡的表現は魅入っちゃうんだよなぁ。

そんで突如出てきた若き日の美和さんの美しさにビビった。
Qちゃん

Qちゃん