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大地のうたのmareのレビュー・感想・評価

大地のうた(1955年製作の映画)
4.5
サタジットレイの初監督作品にしてオプー三部作の一作目。インドの村で貧しい4人家族の生活を淡々と描くが、周りの幸福に暮らす村人との対比もあって、何とかやり繰りしている不安定さから辛く心に残る場面が多い。母はお金のことを考え家庭を支え父は出稼ぎで長く会えず、姉は他人の家から木の実や首飾りを盗んだりしてしまい近所からの評判も良くない。それから幾度も立ちはだかる多くの困難はレイの映像詩が極まるところであり叙情性溢れ、容赦ないリアリティでありながらも引き込まれるように観ていられる不思議な感覚に陥る。生きづらい環境の中でオプーは言葉数少なく駆け回り、お菓子屋を追いかけたり、劇を観に行ったり、姉とこそこそ汽車を見に行ったり子どもにとって数少ない希望とも思える純粋な娯楽の描写は胸に刺さる。素晴らしく感動する。
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