イチロヲ

≒(ニアイコール)草間彌生 わたし大好きのイチロヲのレビュー・感想・評価

3.0
水玉模様の作風でお馴染みの前衛芸術家・草間彌生の創作活動を追っている、ドキュメンタリー作品。2006~2007年頃の活動内容を映像に収めている。

草間女史は、生まれながらの不幸を「絵描きの能力」に変えて、我を貫くことにより、その芸術性を保持している。彼女にとって創作活動がアイデンティティであり、それはすなわち創作活動がなくなると、自己の存在意義もなくなることを意味している。

筆者が過去に鑑賞した別のドキュメンタリーでは、強迫性障害や統合失調症により、玉模様の幻覚症状をもっていることが語られていたが、本作では言及していない。一応のところ、1960年代のニューヨーク時代を回顧しているが、2007年頃の活動内容がメイン。

「他の芸術家と比べても、私の作品のほうがスゴイよねー」と自分に言い聞かせ、湧き上がる自尊心を利用しながら、突拍子もない想像力の発現へと繋げていく。老化に対する反骨精神が見え隠れしており、芸術家の生き様をまざまざと見せつけられる。
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