スピルバーグの原点にして頂点
運転手を映さないことで、タンクローリー自体が意思を持ったクリーチャーに見えてくる
この映画を見てから、得体の知れない車に追いかけられる悪夢を何回見たやろうか
まさに今の僕の恐怖心の核を作り出した傑作
無機質な鉄の固まりやのに、やたら血の気の多いこのタンクローリー
車にとって血ともいえるガソリンを大量に積んだこの車やからこそ、そういうふうに思えるんやろうか
登場人物の気持ちの大きさと、それぞれの駆る車の大きさが比例してるようにも見えて、そんなふうに考えてみてもおもしろい
どこまでも派手に、豪華にできちゃう監督やからこそ、こういうシンプルな巧妙さが光る
ストーリーは最小限に抑えながらも、しっかりと伏線を仕込んでくるのがなんともニクい
天才はお金をかけずともこれほどの傑作が作れるのかと、何度見てもため息が出る
そしてヒッチコックばりの引き際のよさ
ほんとに大好きな映画やと見るたびに実感させてくれる