シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

早春のシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

早春(1970年製作の映画)
3.9
「クーリンチェ少年殺人事件」か「タクシー・ドライバー」か、あるいは「バッファロー'66」か。これら作品と同様の、童貞男による愛の悲喜劇。70年代の幻の傑作とのこと。なるほど納得の評価である。
顔は美男子なのに、明らかにうすのろの童貞青年が、公衆浴場に就職し、先輩職員の年上女性に参ってしまう。どうみても、母親を求めてる感じなんだけどね。甘える対象としての異性。
もちろん、ヒロインは顔がいいだけのうすのろと生涯を共にできるわけもなく、またそもそも貞操観念が薄いので婚約者やそれ以外の色んな男と関係を結び、浴場で売春もしている模様。それがために相手にされない主人公は憤懣を募らせていく。
彼女が婚約者と入ったバーの前でいったりきたりしながら、スタンドでホットドッグを何個も何個も注文し、ストーキングを行う主人公がとりわけ印象的で、愛の滑稽さと虚しさを感じずには居られない。とりわけ答えがかえってこないことが分かっている愛には。