やま

早春のやまのレビュー・感想・評価

早春(1970年製作の映画)
4.5
何回目か忘れた。
追記
髪をグッシャグシャにする。
プール。
変態はどんなふうに変態するかっていう映画。



1回目
映画館にて。自分の中でまた忘れられない映画が一つ増えた。彼らこそ人間らしい。そしてリアル。ただのラブストーリーではない。

こんなにも、童貞してる映画あるのか。
足をバタバタさせてる感じ、ムズムズしてる感じ、落ち着かない感じ、ホットドッグが童貞を表現してる。主人公を演じるジョン・モルダー=ブラウン素晴らしすぎる。


まずこの映画の凄さは役者たち。スコリモフスキ監督のやりたい放題ともいえるカメラワーク、そして長回しによる撮影は非常に大変だったのではないか。しかしそれなのに、一つ一つの描写が自然であり、スポンジ?を投げ合うシーンで落としそうになる感じだとかアイスを口からこぼしちゃう感じだとか何もかもが自然。


そして映像。やりたい放題なのだが、やはり映画というのは芸術なんだなと僕なんかが感じてしまう。揺れるライト、主人公がスーザンをストーカーしているシーンたち。計算尽くされたカメラワークに見惚れるばかり。スーザンが婚約者ときてないか受付で確認するシーンなんかは到底真似できない。

プールのシーンは官能的で美しい。赤色のペンキ、そして電灯全てがラストのために用意されていた。ただもっと浸っていたかった。あれほどのシーンがわずかな時間で切られる。他のシーンは長回しなのにもかかわらず。憎いにもほどがある。短い美しい映像と共に映画は突然終わってしまった。

こんなにも憎い青春映画は観たことがなかった。素晴らしい作品はまだまだ埋もれているんだろう。こうした上映はとても良いことだと思います。



自分だったらあのままダイヤを見つからないふりをする。しかしあの展開。もう何がなんだか分かりません。コントのような描写もあり笑える部分もある。だがラストには、映画は芸術だと思わせられる。素晴らしい一作に間違いない。
やま

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