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早春のalmosteverydayのレビュー・感想・評価

早春(1970年製作の映画)
4.0
オリジナルの製作は1970年、実に半世紀近くのインターバルを挟んでのデジタルリマスター。早春の名に違わぬ残雪や曇天が重たく陰鬱に映し出される一方で、透き通るように白い肌や青い目や黄色いコートは目に痛いほど鮮やかにスクリーンを躍動していました。すごくきれい。ため息が出るほどきれい。

15歳の初恋は焦りと苛立ちとときめきが渾然一体に渦を巻く暴風域のようなもので、舞台と主役をちょっと変えたらたちまちギャグへと姿を変えてしまいそうな、危うくも不確かで爆発的なエネルギーを孕んだものです。そうした題材を、この世のものとは思えないほど美しく若い男と小悪魔的美女と素晴らしい映像と最高にかっこいい音楽とで永久的に保存した、というある種の奇跡を見た気がしました。それにつけてもああ、終盤からラストシーンにかけての鮮烈さよ。足下からぞわぞわと震えがきました。舌の上の透明な宝石のきらめき。

キャット・スティーヴンスのBut I Might Die Tonight、血の滲むような声をふりしぼる歌唱がぐっときました。劇伴のCANのベースラインも最高だった。
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