チーズマン

早春のチーズマンのレビュー・感想・評価

早春(1970年製作の映画)
4.2
映画でジャケ買いってほとんどしないけど、これは思わず買ってしまうカッコ良さ。


面白かった、なるほどこれは強烈な青春“童貞”殺し映画だった。
学校を辞めて公衆浴場で働く15歳の主人公の少年が同じ職場の歳上のお姉さんスーザンに恋をして不器用に突っ走る、童貞らしい痛々しさ満載の作品。


“血”のように真っ赤な自転車から始まって、とにかくその映画全体の鮮烈な色彩や性的なメタファーも相まって、ヴィジュアルの強さがとても印象に残る。
後にそれこそヴィジュアルだけで生きることのクソ大変さを語る『エッセンシャル・キリング』を撮る監督だけある。


ジェーン・アッシャー演じるスーザンの悪魔的な魅力がやばいね、主人公の状況なら誰だってやっぱ夢中になってしまうだろうな。
思い返したら自分もバイト先の歳上のお姉さんとかやたら魅力的に見えたもの、同年代よりも。
主人公のマイク同様に今思えば背伸びしてる感が隠し切れないガキ過ぎる発言を思い出して恥ずかしくなる。


童貞だからとスーザンにちゃんと相手にされない主人公がプールの中でスーザンに似た女性の等身大パネルを抱きしめながら沈む場面の美しさと切なさと滑稽さ、そして…。


セックスすることで始まるのか、
もしくは終わるのか。
保留にされていた“可能性”がセックスによってどういう結末をむかえるのか、スーザンに1人の“男性”として見てほしかった主人公にとってはなんとも言えないものがある、まさにこれは青春童貞殺し映画だったなあ。
チーズマン

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