このレビューはネタバレを含みます
「好きか嫌いかは別として、名作感はプンプン伝わってきますわい」的オシャ映画。
何がおしゃれかって、童貞主人公が高校を退学して『大衆浴場』で働き始めることからはじまるんだけど、まずもって仕事の概要がつかめない。もちろん日本の銭湯とは違うんだけど、個室BATH(?)というか全然どんなサービスなのかわからん。ケロリンの桶とか富士山の絵も無いし。
かと思いきや、おばさんからセクシー何やら妖しげなことされてチップをもらって「風呂は風呂でも風俗的な!?」と思わせたかと思えば、プールも併設されていて女子高生の授業みたいの始まったりもするし。繰り返すが、全然サービスの概要が掴めない。よくわからないけども、画が幻想的なのでここはひとつ、〝オシャレ〟の一言で片付けたい。
例のプールにまつわるシーンはそれこそ、どれも幻想的だった。
〝彼は一瞬に一生を賭したのだ。ほかの何色にも染まろうとしない青さがスクリーンを永遠で満たしている──〟
もし自分がこの作品のパンフレットにになんかコメントを寄稿してくれと言われたら、こんな感じの、それっぽいポエムを書くだろう。てか、書きたくなる。
主演の子が狂気の童貞のクセに美少年すぎるからどうしても雰囲気のある作品に仕上がってしまうのは否めないのだと思う。
にしてもラストシーン、「雪が積もった地面に指輪を落としたときは、落としたであろう範囲の雪を全部ビニール袋に入れて持ち帰り、溶かして見つける」あの作業何!? 物語の最後にあんな地味な作業持ってくるか。逆に忘れられない。
あの間抜けすぎるシーンはすごいなと思いつつ、DVDについていた特典映像の『監督の解説』を見てみてビックリ。
「あの指輪をなくしてしまうシーンは知人に実際に起こった話。その話を聞いたときに僕は、〝雪を集めて溶かせば見つかる〟と思ったんだ。……それがこの映画を作るきっかけになったんだよ」
的なことを言っていたので、一人ぼっちの部屋で「えぇー!」とわりかし大きめの声を出してしまった。