磯野マグロ

早春の磯野マグロのレビュー・感想・評価

早春(1970年製作の映画)
3.6
いくらいい女だからって、童貞をいじめるとバチが当たるぞ、というような話かと思いきや、そんな話では全くない。かたや天下のビートルズを手玉にとった女、かたやイケメンとはいえ15歳。勝負はついてる(苦笑)。
経済不況にやられた70年代イギリスで、15歳の男のコが小汚い公衆浴場に就職して、両親もそれを喜んでいる風で、セクハラばあさんの相手して、気になるスーザンはいけ好かない金持ちの婚約者がいながらおっさんとも付き合っていて、そして大爆発。今となっては想像がつかないんだけどサイケでパンクな時代だったんだろうなあ。マイクもスーザンも、21世紀から見れば愛おしい(上から目線)。
これ撮ったとき、スコリモフスキは30台前半だったんだよね。30過ぎてこれが撮れるってすごい(追記。スコリモフスキのインタビュー読んだら、20台の頃に有名女優と付き合っていた経験をもとに、と書いてあった。童貞の敵め!笑)夜の街の屋台のホットドッグが、クタクタに煮た玉ねぎかなんかも挟んであって妙にうまそう。見てるときはそう思わなかったんだけど、あとになってやたらに思い出す。食べすぎだけどね。笑
あ、言い忘れてたけど、画面は面白いことやってんなーって感じ。プールのシーンが有名だけど、個人的に好きなのは、脚にギプスしたお姉さまのお部屋と、スーザンがいけ好かない同僚と話をしているバックで、おっさんが壁を真っ赤に塗っていくシーン。ちゃんとした映画っていうのは、画面の中に1つの無駄もないですね。
2
磯野マグロ

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