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ナビィの恋の東京キネマのレビュー・感想・評価

ナビィの恋(1999年製作の映画)
3.2
沖縄の空気感が良く出ているのが先ずいいですね。沖縄民謡もたっぷり聞かせてくれるし(ケルト音楽やカルメンが出てくるのはなんで?)、シチュエーションに合わせて色々編曲を変えていて「音楽映画」になっているのも好感が持てます。

しかし、日本映画に良くある通り、この映画もストーリーが殆どありません。

「十九の春」の歌詞をそのままあてぶりにした程度のお話なので、そういった意味での物語の面白さは皆無です。「十九の春」の歌詞の内容はとても感動的なストーリーがあるし、元歌から派生して色々な歌詞が伝承的に広がっている訳だから、“何故離ればなれになったの?”を幾らでも膨らませることが出来ただろうに、と思うんだけどね。

“60年も経っているのに、他人の生活を壊すんじゃないよ”とか、“80歳の婆さんが何急に色気付いてるの?”とか、そういった印象になっちゃうのは話に説得力がないからですよ。何しろ、島に根を下ろした生活基盤もある80歳の老女が、全ての生活投げうって逃避行するなんてことはあり得ません。だから、そういったあり得ないことをやるのであれば、それなりの誘因を創ってくれないと。

それとあのエンドはないんじゃないの。まあ、音楽映画やミュージカル映画では、こういった顔見せのためのエンディングっていうのはよくあるっちゃあるんですけど、演出の問題なのかも知れませんが映画関係者の打上げを見せられてるようでイヤですね。それまでゆったりとしたうちなんちゅのリズムが映画全体のリズムになっていたのに、いきなりエンドであっかんべえされた気分です。

もしかするとこの映画、観客にどう見てもらうかというよりも、飽くまで沖縄の人と一緒に映画を創ったってことが一番重要なところなのかも。いや、そういった方法論もあるんだとは思うけど、何も映画館に行ってまで観光案内ビデオとかカラオケ・ビデオを見る人は居ないと思うので、もうちょっとそこんところは工夫して欲しいかな。