大富豪の管財人の不正を暴くよう依頼されたポアロは、ナイルの船旅に出かけることになり、そこで財産目当ての殺人事件に遭遇する。オリエント急行と同じく、乗客全員が容疑者の難事件にポアロの灰色の脳細胞が挑むというお話。
オリエント急行殺人事件を見て、中学以来、約40年ぶりの再見。ニーノ・ロータの美しい旋律をバックに物語はナイルの流れのようにゆったりと進む。ストーリー展開と骨格はほぼオリエント急行と同じで、アガサ・クリスティの作品の特徴が良く出ている。ピーター・ユスチノフのポアロは原作ファンには不評だが、私が最初にスクリーンで出会ったポアロはこの人。なかなか味があって捨てがたい。サイモン・マッコーキンディルとロイス・チャイルズの美男美女の大型新人は、この後、作品に恵まれず、大成することはなかった。脇を固める綺羅星のような大スターのおかげで、当時は堂々たるお正月大作だった。ルパン三世との二本立てで、半日かけての映画鑑賞は楽しい思い出である。