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ダイヤルMを廻せ!のとぽとぽのレビュー・感想・評価

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)
4.0
ヒッチコック映画として最良のものではないけど、ここでは誰もが秘密を抱え後ろめたく主人公は裏で糸を引き取り繕ろうとする無様さが見事。機転が効くというか御都合主義というか、幾分理詰めすぎて何かと喋りすぎだけどハラハラドキドキするのはやっぱりヒッチコック節。完璧なカット割りと構図に陰影の美学の中で当代随一の輝きを放つグレース・ケリーが素晴らしく忘れ難い演技を披露している。彼の作品はいつものように冒頭から主人公かと思った人が主人公じゃなかったり(例『サイコ』)、主人公が犯人の場合は計画の綻びに主人公の焦りを手に取るように感じ取られたりと見せ方・プレゼン方法がとにかく巧い(例『ロープ』)。多面的なキャラクター造形が物語に深みをもたらす。だから物語は最初から期待していた通りには進まず、予期せぬ方向へと転換することで幾度も山場とスリルを提供してくれる。ボタンの掛け違いにヒヤヒヤゾクゾク。おとぼけな振りしてキレキレ推理を発揮しては追い込んでいく警部も単独で探偵もの作品できそうなほど良いキャラしている。観客の喜ばせ方を心得ている、流石サスペンスの神様伊達じゃない。

"What do I next?"「現実は小説のようにうまく運ばん絶対に」「なぜすぐ警察を呼ばなかったのですか?」「なぜ夕べ電話したの?」「未遂は死刑にはならない、せいぜい数年だ」「遺志を変えるよ、君には何も残らない」
TOMATOMETER88 AUDIENCE92
Critic Consensus: Dial M for Murder may be slightly off-peak Hitchcock, but by any other standard, it's a sophisticated, chillingly sinister thriller -- and one that boasts an unforgettable performance from Grace Kelly to boot.
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