シリーズ34作目。マドンナは2度目の登場の大原麗子。
いつもは勝手に行方をくらませては周りを心配させる寅さんが、今作では失踪した男を探す側に回るという一風変わったストーリー。しかし、寅さんが逆の立場に立つことで自分の振る舞いを反省するなどという単純な話ではなく、人妻であるマドンナに惚れた寅さんは「このまま夫がいなくなれば」と期待してしまった自分の浅ましさに気づいて絶望してしまうという辛い物語でした。
そういう悲しい話なのですが、「奥さん、オレはきったねえ男です」と別れを告げながら、間違って押入れの襖を開けるという、泣かせながら笑わせるシーンは絶品でした。
笑いといえば、前回初登場の美保純がレギュラーとなり、口の悪いはすっぱ娘として随所で笑いを提供してくれるのも最高でした。
マドンナの大原麗子は2度目の登場ですが前回とは別人の役。彼女の夫役は、お巡りさん役で準レギュラーのはずの米倉斉加年。山田監督はお気に入りの役者を違う役で再登場させるのに躊躇いはないみたいだけど、やっぱりちょっと違和感はありますよね。