垂直落下式サミング

蛇娘と白髪魔の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

蛇娘と白髪魔(1968年製作の映画)
2.9
楳図かずおの短編を一本にまとめた映画。生き別れた実父に引き取られた少女がその屋敷で体験する怪奇でサイコな恐怖の物語。
「人が精神的に抱え込んでいるものが、あるきっかけで実態を伴って肉体にあらわれる」というのはクローネンバーグの映画によくあるモチーフだが、楳図かずお漫画は「おかれた環境によって、その人の外見や精神が変容してゆく」というはなしが多い。
本作には、その作家性はあまり受け継がれていない気がするが、蛇娘の心の歪みの原因は、その出生のコンプレックスより、外的要因によるものの方が大きい。彼女の成長を阻害し続けてきた白髪魔は、ホワイトヘアーデビルの風上にもおけないような悪い指導者だ。白髪魔に依存しきっているから、彼女は意地悪な蛇のまま変わることができない。
女の子が思ったことを心の声にして全部説明してくれるし、登場人物の視点が定まらず散漫なのでスリルがないのですけど、なんか最後は姉妹百合に着地するので安心した。
原作者の楳図先生がご出演されています。若い!