りっく

恋する幼虫のりっくのレビュー・感想・評価

恋する幼虫(2003年製作の映画)
3.8
ジャンルとしては「ヴァンパイアもの」の純愛物語をアレンジしたような話。
ただし、その純愛に行き着くまでの描写が、人間の本質を抉り出しているように感じる。
「生」と「性」のどうしようもない不快さ、気持ち悪さ。
人を愛することによって、負うことになる「傷」。
そういうものを「異形」や「異物」といったグロテスクなものに託すことで、ただの悪趣味描写の域を完全に超えている。
まさに、ストーリーテリングのためのグロテスク描写になっているところがいい。

対人恐怖症、生理的嫌悪感、過去のトラウマ。
何重もの殻にこもっていた2人が、ついに自分の殻を突き破る。
純度が高すぎるがゆえに、そうするしかなかった究極の愛の形。
それは歪な形に見えるかもしれないが、美しい姿だと思わせられてしまう。
低予算かつまだまだ技術不足な面は多いと感じたが、それでも作り手の志の高さで一気に魅せられる。
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