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キングス&クイーンのTenKasSのレビュー・感想・評価

キングス&クイーン(2004年製作の映画)
5.0
余りにも変な映画で、やたらとスパスパカットしまくるし、過去と現在と夢とをバンバン乗り越えるので、シーンのトーンも全然違う。二人の人物(エマニュエル・ドゥヴォスとマチュー・アマルリック)を主軸に話は進むが、この二人が画面的に交わるシーンはほとんど無く、一方は父親の死に際した重苦しいヒューマンドラマ的な位置づけでもう一方は精神を病んだヴィオラ奏者の10日間の措置入院がコメディ的な位置づけで描かれ、それが交互に映される。
マチュー・アマルリックが意味不明なダンスを披露するコミカルなシーンののちに、シリアスなドラマに平然と移行したりする。マチュー・アマルリックの方ではちょっとした銃撃戦まである。一応は息子という接点がふたりにはあるが、それも二人の実の子ではなく、ノラの前夫との子であると徹底して?必然性を避けている感じさえある。
150分もあるので飽きが来ると言えばくるが、人間の生活の偶然性というかすれ違いというか、あまりにも必然性を持っていないような出来事の数々がパッチワークのように継ぎ接ぎされて、ラストの息子による人物相関図のように映画というまとまったかたちで画面に現れてくるのはちょっと感動的ですらあるし、頭が良い人間でないとこんな世界の認知の仕方は出来ないと思う。凄すぎ。
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