カジノ“タンジール”を仕切る事実上の支配人となっていく“エース”こと賭博の予想屋サム・ロススティーン(ロバート・デ・ニーロ)。後ろ盾たちを荒稼ぎで喜ばせ、紛れ込んだイカサマ師の発見・排除にも余念がない。ここにラスベガスの暴力団のボスとなった友人、”ニッキー“ことニコラス・サントロ(ジョー・ペシ)が登場。打ち込まれた楔のようにジワジワと食い込んできて様々なバランスを狂わせ始める。
昔のカジノ経営の裏側を描いてはいるが「モブ・マフィアもの」に位置付けるスコセッシ監督の狙い通り、「グッドフェローズ」とよく似た感触。残念ながらデ・ニーロ以上にジョー・ペシの強烈な役処には強い既視感しかなく本編全体に対する新鮮味は感じられなかった。殆どがアドリブと言われている2人の会話は驚くほど自然で見どころではあるのだけれど。
ジンジャー(シャロン・ストーン)は確かに美しいけれど、エースは彼女の何処に惚れたんだかよく分からない。この世界に生きる悪漢どもが持つ、自分の理解を越えた嗜好なのだと考えるようにした。案の定、彼女はエースが身を滅ぼしていく元凶となったじゃないか(笑)。
カジノを取り巻くラスベガスの砂漠が如何に役立っていたか…マフィアが牛耳っていた‘70年代まで、嘘のような本当の話で笑いごとではない。
エースが指の間に挟んだサイコロを吹いて回したり、水準器のような器具(?)に挟んでみたりする仕草が興味深い。サイコロに重さの偏りや歪みがないか(イカサマ・ダイスじゃないかどうか)調べているのだろうか?