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ワンダフルライフのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ワンダフルライフ(1999年製作の映画)
4.5
【「選ばない」という責任の取り方・・・か・・・】

今になってみるとARATAや伊勢谷君、阿部サダヲ(チョイだけど・・・)など、そうそうたる面々をこれでもかというくらい淡々と映像に残した名作。

「あなたは亡くなりました。これから一週間の間に生きていた間の思い出を一つだけ選んでください。そしてその思い出だけを胸に天国へ旅立ってください」

こう言われたら、自分は一体どんな思い出を選ぶのだろう?
恐らくこの映画を観た方の殆どが抱く感想ではないでしょうか?

この映画の登場人物も、あえて一般の方も多く参加したことで「ドキュメンタリー色」が出ていて、台詞ではない「普通の人」が発する言葉として伝わってきました。
映画上は「死んだ人」となっていますが、彼らは生きているうちに「思い出の整理」を行いました。
でも観ていてわかりますがとても簡単な作業であるとは言えません。
一つに絞れない人、一つも無い人、思い出したくもない人、選ばない人・・・。

伊勢谷君が演じた、この「選ばない人」は気難しくて理屈っぽい青年の役でしたが、映画館で見た当時、年齢も近かったせいか非常に共感してしまいました。
一つだけを択ぶということは、それ以外の自分の人生を否定することになってしまう。
それならば択ばないということで自分の人生に対する責任の取り方もあるのではないか?

やっぱり今考えると理屈っぽい。
でもわかる。
そういう人もいてもいいと思う。
一つだけしか思い出を選ばないなんて・・・僕には出来ない。

今そう思える僕は幸せ者なのだろうか。
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