あの世に持って行くことの出来るたった一つの思い出。
あなたなら何を持って行きますか?
っていうテーマ設定がおもしろい。
実はお初の是枝監督作品。
あの世に旅立つ前に1週間、幸せな思い出のビデオ作って、その記憶だけを残してあの世に旅立つって
固定した宗教のない、信仰が強くない日本だからこその作品だよね。
日本より海外で評価されたという理由が分かる。
(万引き家族でパルムドールおめでとう!)
是枝監督はもともとドキュメンタリーの監督だからか、亡くなった人たちの思い出再現ビデオを作るシーンなんかは、本当に出演者の思い出を再現するドキュメンタリーみたい。
思い出を語る人たちは、エキストラも多いんだって。
ただ、ドキュメンタリーかといえばそうではない。
ビデオを作るために働く人たちにはストーリーがあるし、
メッセージを伝えるための演出も凝っている。
心が暖まる、ふっと素敵な作品でした。
最後にネタバレあり!
望月が思い出を選んだこと、
伊勢谷が思い出を選ばなかったこと、
何か一つの思い出だけを選ぶということは他の思い出は全て忘れてしまうということ。
だったら、選ばないという選択もありなんじゃないか。
伊勢谷と年齢が近いからか、伊勢谷の台詞になんだかうんうんと頷いてしまう。
でも、最後に望月が思い出を選んだこと。
それは、自分が誰かの思い出に貢献出来ていたことを気付いたから。
自分が生きたことが、誰かの最高の思い出に繋がっていることに気付いた瞬間、を彼は選んだ。
許嫁を遺して、先に死んだ彼だったけど、
彼女にとって彼との思い出は素敵なものだったんだね。
施設で働く謎のおじさん。
毎晩月の模型を窓に映すのは、
月自体は丸いのに、光が当たる角度によって見え方が違う。
つまり、物事は見る角度によって、見え方は変わってくるんだよって、
伝えたかったのかな。
誰かにとって、天国に持っていきたいと思える思い出に寄り添える人間になりたいね。