とどのまつり

ワンダフルライフのとどのまつりのレビュー・感想・評価

ワンダフルライフ(1999年製作の映画)
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死者が楽しかった思い出をひとつ選び、スタッフがそれを再現した映画を作って上映するというお話。そんなファンタジー性の強い題材でありながら是枝監督の得意とするドキュメンタリー的手法によって妙なリアルさをもっている。このあたりは本当に見事。人々がそれぞれのバックグラウンドを抱えて確かにそこにいるように感じてしまう。
今死んだとして自分はどの思い出を選ぶだろうか。これから先の人生で選べるような思い出に出会えるだろうか。もしかしたら伊勢谷くんみたいに選ばないという選択をするかもしれない。でもそれも含めて全てはこころの持ちようなんだろう。たとえ同じ出来事でもそれぞれ捉え方は違うから。「同じ月なのに光の当たり方によって見え方が違う」という谷啓演じる所長のセリフがまさにこのこと。人生のハイライトなんていつ来るか分からない。それはもしかしたら今なのかもしれない。