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ワンダフルライフのKSatのレビュー・感想・評価

ワンダフルライフ(1999年製作の映画)
4.3
設定勝ちなところはあるけど、これは凄い。

今まさに募集中の是枝さんの会社「分福」の監督助手に応募するためのエッセイを書いているんだけど、まさにこの映画でやってるようなことを問う課題になっている。

この人の映画の根元にあるのは、映画=記憶っていうことなんじゃないかな。つまり、何気ない記憶や情景、五感で得た感覚の集積が、ディテールの積み重ねとしての映画になりうるという。

そしてそれを得るためなら、フィクションもドキュメンタリーも関係ないのだ。人の記憶自体が虚か実か曖昧だから当然のこと。

「ポルトガル、ここに誕生す」のエリセパートやジャ・ジャンクーの「四川のうた」を先取りしたような、実際の素人の人たちの戦争体験や震災体験を語るインタビュー。

そして、明らかにフィクションと判る、伊勢谷友介のふてぶてしい様。

これらを交互に見せる姿勢は、ちょっと凄い。フィクションとドキュメンタリーの狭間を行き来する姿勢はあざといんだけど、ここまで来ると感動してしまう。

やはり同じように虚と実の曖昧さを扱いたかったのはわかるけど「真実」はマジでどうしちゃったの、と改めて思う。山崎さんパワー?

ARATAは若くてまだ怖くないし、小田エリカはマジで良いのに最近見ない。どうしちゃったの?
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