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東京上空三十秒のmhのレビュー・感想・評価

東京上空三十秒(1944年製作の映画)
5.0
「なぜそんなに美しい?」
「こんなステキな男を射止めるためよ」

トランボが書いたプロパガンダ映画。
謎のミッションに借り出される新婚の軍人さん。覚悟して臨むとそれが日本に対する初めての空襲で、その前後譚。
爆撃機(B25)の内部、爆撃機を空母へ搭載する作業(前輪に牽引するための器具取り付け含む)、空母から離陸する爆撃機、500ポンド爆弾と収束焼夷弾の投下。などなど、見たことないシーンが目白押しで、ものすごい眼福。
「ドーリットル空襲」でググるとわかるんだけど、7番機の行動をかなり正確にトレースしてるみたい。機長がそのまま実名で主人公。
アメリカ陸軍とアメリカ海軍の微笑ましい共同作業だったり、蓄音機は乗せたんだけどレコードを乗せ忘れちまったからこれ頼むわとか日本じゃ絶対やってないことやってたり、日本人は好きでもないが嫌いでもないと正直な胸の内を語らせることに時間省いたり、機内から一斗缶で燃料補給とか細部もいい。ほか、東京にある防空気球の位置を、アメリカの潜水艦が監視しているという描写があった。
「帰るたびに匂いが良くなる」
というセリフにぐっときた。
「郷里の匂いがわかるようになり、それがいいものだと思うようになった」という意味。このあたりさすトラ。
平和の象徴みたいな舌足らずのヒロインが中毒性高くて良かった。少し足りないけど、まじでいい娘みたいなキャラ造形。
椅子から落ちる再会シーンは見事だった。
邦画でも「陸軍」みたいなプロパガンダ映画の傑作があるけど、これもすごい。傑作とされてる「ミニヴァー夫人」よりもこっちのほうが好み。
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