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三人三色のRandBのレビュー・感想・評価

三人三色(2004年製作の映画)
3.2
ポン・ジュノ監督作品にハマり、鑑賞。

2000年に始まった全州(チョンジュ)国際映画祭にて、毎年行われている短編映画の製作支援プロジェクト"三人三色"
その2004年版。

というわけで、ここからは各作品のあらすじと感想。

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『インフルエンザ』
監督:ポン・ジュノ
時間:27分19秒
☆×3.3
監視カメラに映し出された男の4年間。底辺に生きる男は、少しずつ犯罪に手を染めていく...。

監視カメラの映像(10カット)で表現される男の堕落。一つ一つのカットである程度、物語は出来上がっているので、それを繋ぎ合わせた結果、男の数年間の変化が見えてくる印象。アンダーグラウンドで生きるゆえに犯罪へと走ってしまう男の姿は『ジョーカー』にも通ずるのかも...。
ATMにやってきたおばあちゃんに優しく近づいたフリをして、小外刈を決める主人公のシーンと、ガラス張りATMの内と外でどんちゃん騒ぎが巻き起こるクライマックスが、とても滑稽な作品でした。

『夜迷宮』
監督:ユー・リクウァイ
時間:29分26秒
☆×2.5
大寒波による被害を受けた都市・プラスティックシティ。地上で住むことが出来なくなった人々は、地下の宿泊所での生活を余儀なくされていた...。

荒廃した近未来を舞台に描かれる独特な物語。
登場人物がセリフをしゃべらず、サイレント映画の様に後から字幕がでてきたり、現実離れした浮遊感を醸し出すため、あえて映像をぼやかしていたり、重要な言葉を画面奥から飛び出すように浮き出たせたり、変わった演出が目立つ作品だった。
しかし、全体的に雰囲気で乗り切った映画という印象は強い。

『鏡心』
監督:石井 聰亙
時間:40分5秒
☆×3.8
言葉選びに悩み、現実から逃げ出したくなった鬱気味の脚本家。不思議な臨死体験をした彼女の物語。

怪談のように監督がこちらへと話しかける導入が印象的な作品。
人物配置に困惑する序盤の二人の会話シーンや、監督が聞いたという話をスピリチュアルで美しい映像として表現したところが素晴らしく、美しいバリ島の風景に、風や滝が流れる音など、映画館で観たかった作品でもある。
ヒロインのモデルは一体誰だったのか、彼女が作った作品や、この作品の元となった監督の実体験についても具体的に知りたい気持ちになった...。

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参考
Jeonju Intl. Film Festival
http://eng.jiff.or.kr/
(全州国際映画祭の公式サイト)

第1回 韓国で開催の全州(チョンジュ)国際映画祭の魅力に迫る!:ぐるっと!世界の映画祭 - シネマトゥデイ
https://www.cinematoday.jp/page/A0003320

公益財団法人川喜多記念映画文化財団 国際交流
http://www.kawakita-film.or.jp/kokusai_3_2010_jeonju.html
(映画祭のレポート記事。)
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