Mikiyoshi1986

シド・アンド・ナンシーのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

シド・アンド・ナンシー(1986年製作の映画)
3.8
5月10日は英国パンクロックの開祖Sex Pistolsに在籍し、21年というあまりにも短い生涯を駆け抜けた伝説のパンクロッカーSid Viciousのお誕生日。
生きていればなんと今日で60歳!
還暦のシドとか微塵も想像できねぇ…

そしてパンクロックと共に青春を謳歌した我が高校時代。
バンド結成に当たり、高1の時に初めて買ったベースがシドと同じカラーのプレベでした。(ただしfenderじゃなくてSquier)
他にもシドチェーン(Rの南京錠)を毎日首に施錠して通学したり、トリコロールのリストバンド、セディショナリーズのカウボーイTシャツを着たりと、とにかくシドに憧れてた頃がとっても懐かしいです。

そして本作は当時付き合ってた彼女の家で一緒に観賞した思い出の映画でもあったり。
思えばつい14、5年前ってレンタル店もまだVHSばっかりでしたよね。

シドとその恋人ナンシーが破滅の愛へと突き進むジャンキー映画。
シドを演じたゲイリー・オールドマンの出世作でもありますが、それ以上にナンシー役のクロエ・ウェッブの存在感は絶大!
実際のナンシーの方が幾分か可愛いけど、ピストルズをぶっ潰したジャンキー女を表現するには恐いくらいの説得力を携えています。

重要人物であるはずのヴィヴィアン・ウエストウッドが全然出てこなかったり、ハーケンクロイツのTシャツが鎌と槌に変わってたり、
そもそも個人的にゲイリー・オールドマンの人相があまりシドに見えてこなかったりもしますが、(ジョシュ・ハートネットの顔は結構シドに似てると思う)
彼の徹底した役作りは白眉モノであり、「My Way」のシーンなんかは実に真に迫るものがあります。
ゴミが降るキスシーンとか超素敵。

ピストルズの中ではスティーヴ・ジョーンズが一番似てるし、マルコム・マクラーレンも雰囲気そのまんま。

ナンシーの死の真相はいまだに謎のままですが、アラン・パーカーの著書「シド・ヴィシャスの全て」では強盗殺人説なんてのも展開されてましたね。
ジョン・サイモン・リッチーという一人の少年が、Sid Viciousという名の肖像に呑み込まれていった末路。

そもそもパンクとは何か?
それは音楽のジャンルでもなければ、ファッションやスタイルでもない。
生き様そのものなのだということを、シド・ヴィシャスは身をもって体現した真のパンク第一号だったのでありました。
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