ゆゆこ

ファニーとアレクサンデルのゆゆこのレビュー・感想・評価

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)
4.7
初めて観た。5時間越えの映画を。
だから見始めの、ひたすら楽しそうなある一家大勢のクリスマスのメリーメントの長回しを見て、正直あと5時間どうなるのか心配になった。

しかしこれがなんと真逆。

5時間を感じさせない、詩的で、美しくて、でも残酷で、それでいて幸せな、あっという間の時間だったのだ。

細部まで行き届いた手の込んだ舞台は、絵にしたくなるほど美しい。

性という悦びも入り乱れるような楽しく愉快なクリスマスから始まるものの、二人の子どもの父親が亡くなり母が再婚する頃から一転、雰囲気は重苦しく暗くなる。しかしまた再び元の幸せへと戻り始める…というのが大まかな流れなのだろうが、
その中にひと際目立つ要素が恐らく、

「生」「死」「神」

なのかなぁと。

楽しいひと時の中にも、アレクサンデルにつきまとう亡霊の影。特に冒頭の死神にはドキドキした。呼吸するミイラ、死んだ父、主教の亡霊などが彼を苦しめる。

その一方で、楽しいパーティ、祝祭シーン。
「いつか来る死などに悩まされず、今を楽しもう!」と言う。

この「生」と「死」という2つの顔が、5時間の中に常に色濃く区別されて浮き彫りになる。
しかし、現実にはその2つの顔は表裏一体に近いのだ。

たとえ、彼らの住む「小さな世界」でも、それらは確実に存在し、掻き消すことはできない。向き合わなければならない。

そして「神」。

この作品を見て「神」を見失った。笑
神とは誰の味方なんだろう?万人?信者?考えるだけで複雑、私には理解できなかった。
ただ、<神>は1人でも、それぞれの心にいる神はどうやら違うのかもしれない…とか思ってみたり。

とりあえず、セットが凄い。厳かであるがどこか変だ、美しいが、不気味だ。そして静かだが、飽きない。引き込まれる世界観。やーすごい。好きだった。

でも1つ言えるのは、題名にファニーが出てくるほど本編でファニー出てこなかった気がするんだけど、それは…それでいいのか、、