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ファニーとアレクサンデルのmkのレビュー・感想・評価

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)
4.5
311分で劇場を所有するとある一族の2年間をファニーとアレクサンデルの視点から描いたベルイマンの集大成。
(だいぶ遅れたレビューですが)わたしが最も敬愛する監督イングマールベルイマンの生誕100年映画祭でようやくスクリーンに彼の作品を観ることが叶いました。
ベルイマンの幼少期が投影されている。彼の神や聖職者に対する懐疑心はもちろん、でも本作の焦点はそこではないような。
「どんなこともあり得る。何でも起こり得る。時間にも空間にも縛られず、創造の力は色褪せた現実から、美しい模様の布を紡ぎ出す…」
彼は劇場や舞台の想像力に幸福を見出してわたしたちを誘おうとしてくれたのではないかな。
時間がある分登場人物みんな繊細に描かれている。人間臭い情けないところまで丁寧に。でも憎めない。むしろ親しみを感じてしまう笑
ベルイマンの父親はスウェーデンの首席牧師。牧師として優秀であったが厳格な父親は、家族によく体罰を与えていたようだ。少年時代、ベルイマンは人形劇や映写機の虜となっていった。そして性の目覚めも訪れた。禁欲的な家庭では許されざる性欲は彼に罪悪感しか与えなかった。救ってくれたのは信仰や祈りではなく、映画と劇場であった。そんな彼の幼少期が垣間見れる超大作である。
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