「信頼できない語り手〜Unreliable narrator」の叙述トリック手法を用いた典型的な引っ掛けサスペンス。
最初からどんどん登場人物が広がっていくので、人物の相関関係を把握するのがややこしくなって、どんどんごちゃごちゃしてくるので
途中は話に置いて行かれてしまうが、実はコレも「計算づく」の演出。
FBI捜査官も観ている私達も完全に煙に巻かれる。
みんな「カイザー・ソゼ」のイメージに振り回される。
最後の最後で怒涛の伏線回収とどんでん返しが爽快。
最近だと「Search」でも体験した感覚。
<ネタバレ注意>
いきなり冒頭でキートン(ガブリエル・バーン)が
「もう足が痺れて動けない」と言うセリフが
ヒントになってる。
ケヴィン・スペイシーがやたらとカイザー・ソゼ(の噂話)に詳しいのも
かなり臭い。
「コバヤシ」も全然日系っぽくないし。
人間って、見た目やイメージに振り回されるのに
映画でそういう演出があると「これはフェイクなのでは?」と
自分で自分にフィルターをかけて、自然な違和感を封じてしまう。
そこも上手く操られた感じが面白い。
しかし今となっては
監督のブライアン・シンガーも
主演のケヴィン・スペイシーも
少年への性的暴行問題で謹慎状態なのを考えると
序盤で、スティーヴン・ボールドウィン(マイケル・マクマナス)と
ケヴィン・ポラック(トッド・ホックニー)・・・だったっけ?が
顔を近づけてキス寸前でフッと離れて苦笑いするシーンが
矢鱈と意味深に思えて仕方ない。